ワシントンからのメッセージ


 お元気ですか。
 アメリカは大変です。日本は脳天気ですね、と嫌みのひとつも言いたくなります。日本の旗が見えない、いったい日本は本当の仲間なのか……そんな声が聞かれます。
 軍事協力の範囲など、いまは問題ではないのです。日本もいっしょにテロを憎み、 民主主義を守る戦列に参加するかどうかが問われているのです。
 日本も人ごとでないのです。そういう意味の鮮明なメッセージを早く出さないと、 湾岸の二の舞いどころか決定的に仲間はずれにされかねません。
 アメリカに自重をうながすためにも、鮮明なメッセージがまず必要でしょう。てなことを考えていら立っています。いま、こちらでも何かそれなりの旗を立てるべく奮闘中です。ご検討とご健闘をお願いします。
 では、お元気で。小生に電話をいただければ、こちらの空気をお知らせします。

2001年9月19日 ワシントンDC在住、 日本人ジャーナリストH・Wさん

 河野洋平からの返信

  日頃はリベラルな論調と温厚な人柄で知られるW氏のこのメールから、アメリカ国 内 のただならぬ雰囲気であることが伝わってきました。
 私自身は「メッセージ」のページに掲げたように、今回の事態に対する対処が怒りだけに任せたもの に なってはいけないという慎重論です。しかし、ヨーロッパの首脳たちが事件後直ちに テ レビカメラの前でテロを非難しアメリカに連帯するメッセージを肉声で発したのに対 し、わが国の総理のそれが出遅れた印象は否めないと思います。
 コリン・パウエル国務長官は、自伝によると「まず怒れ。そしてそれを乗り越え よ」 ということを信条の一つにしているそうですが、日本人の控えめな感情表現は時とし て 国際政治の舞台では「何を考えているかわからない」という印象を与えてしまうこと に は気をつけなければなりません。