草のにおい --- 菖蒲と花器が作り上げる直線美の箱庭

木々の緑も鮮やかさを増しあらゆるものがみずみずしさをたたえる季節になってきました。今月はこの端午の節供にも最適な菖蒲を使ったアレンジメントです。

佐々木紀江
東京在住。日本フラワーデザイナー協会講師資格取得。佐賀新聞文化講座講師。個人教室開設。RKB毎日放送、サガテレビの情報番組にフラワーアレンジメントを提供。

 木々や葉の匂い、みずみずしい新緑の美しさに身も心も癒される季節の到来です。
 今月は菖蒲を使い、端午の節供にもぴったりなアレンジメントを楽しんでみましょう。端午の節供は、奈良時代に中国の風習が日本に伝わったもので、江戸時代に男の子の出世を願う祝日となったといいます。この節供に欠かせないのが菖蒲の花。古来から菖蒲は邪気を払う力があるといわれており、この言い伝えが子どもの無事な成長を願う気持ちと結びついたのではないでしょうか。
 今回は真っすぐに咲く花の特徴を活かして、高さのないざるに生けていますが、横に長いものや四角い器に生けるのも素敵です。このアレンジでは器の半分に生けていますが、器によっては全体に生けてもよいでしょう。また、花材を真っすぐに生けるアレンジメントは、菖蒲に限らず直線的なグラジオラス、オークスパー、ストレリチアや、季節の枝ものを使っても楽しむことができます。
 花材が洋花の場合でも和の雰囲気を取り入れたいときには、器を和風にするだけでなく、洋風の器を使い周りに和の小物を置く、花器の下に和紙や古布を敷く、花を置く場所の後ろに暖簾や帯などを掛けるなどの方法があります。
 菖蒲のように背の高い花を使う場合のポイントとしては、花が開いたときを想像して、花自体がぶつかったり、重なったりしないように、スペースや、段差をつけて生けるようにします。



撮影◎インプレス 鈴木雅之

【レンズの視点から】
今月は端午の節供と邪気を払う菖蒲の力を意識して、気持ちが落ち着き、心が穏やかになるような写真をと意識して撮影を進めました。今回、しっとりとした雰囲気が伝わればと思い、あえて床の間を正面から見ました。その上で画面の右から斜光を入れていますが、こうすることで花の周りが少し暗くなり、光と影でコントラストをつけることができます。これは撮影だけでなく実際の飾り付けにも応用できますので試してみてください。