中休みの秋

文/橋本貴美子
フラワーアレンジメント/芳谷里佳

 秋のはじまりを感じる季節となりました。私の住む関西において秋の訪れを感じられる場所が大阪市内中央の北南を結ぶ御堂筋。ここは長い銀杏並木が続きます。
 秋の囁きとともに黄緑の葉が徐々に色づきはじめ、銀杏の実を結び、黄金に輝き、そして枯葉舞う季節へと変化していきます。実は、この頃歩道を歩くのは至難の業。気を抜くと銀杏を靴底につけ、悪臭とともにその日を過ごさなくてはいけなくなるからです。
 とはいえ、昨今では夜はライトアップが施され、大阪のすてきなスポットとなっていますし、わざわざ紅葉を見に遠方へ出かける必要なく美しいグラデーションを楽しむことができるのは魅力です。
 私は秋という季節に1年の中休み的なものを感じます。酷暑の夏、心身とも疲れているのにそれでも輝く太陽に誘われ、精一杯楽しみ疲労を感じる。それを癒してくれるのが秋ではないでしょうか?
 最近は中国茶が流行といいますが、今月の花材でもある菊も「貢菊茶」というポピュラーなお茶があります。中国でのその歴史は清朝初期にさかのぼり、解毒効果により健康増進につながるといわれ眼精疲労にも効果があるとのこと。
 ブームになる前に喫したことがありますが、お湯が注がれ、その湯飲みの底にどかっと鎮座する不思議な物体に驚いたことがありました。貢菊は白い花ほど良質であり、いただくたびにお茶のなかでユラユラと揺らめく様子は効能以外にもとてもほっこりさせてくれるものだったと記憶しています。残念ながら味は記憶に残るほどではなかったようなのですが……。
 飲んだ後の花を乾燥させ「枕」の芯として使用すると、火照りを下げ頭を覚醒し、健康的な目覚めと安眠効果を促すとも聞きました。
 秋は意外と早く過ぎてしまうもの。外出を控えたくなる寒さがやってくる前に、草花や風をたくさん感じておきたいものですね。
 今年も残り3分の1、この辺であく抜きをしてみるのもいいのではないでしょうか?

 
今月のアレンジメント

花材
菊(白いものと淡いピンクのもの)

ポイント
中国では、災いを逃れ長寿を願うために、菊を浮かべた菊酒を飲む習わしがあるといいます。今回はその優雅な風習を取り入れたアレンジメントです。
木のお盆に菊を飾っていますが、お盆からオアシスがはみださないように大きさを調節しそこに菊を挿していきます。お盆の色とも合うように菊の色などを調整して、おもてなしの席などにも活用してみてください。
 
橋本貴美子
エッセイスト。毎日放送勤務の傍ら、料理やフラワーアレンジメントに関するエッセイを執筆中。昨年度『りぶる』で紹介した遊学中のメンフィスでの思い出とミートロールのレシピが好評。今月からスタートする本コーナーでは毎月、花をテーマにしたエッセイを連載。

芳谷里佳
フラワーコーディネーター。フランス・ピヴェルディ校にて、フラワーアーティストの研修に参加。その後オランダ、ドイツのフローリストに師事。現在はウェディング、パーティー、レストラン装花、空間装飾を手掛ける。ヨーロピアンアレンジメント教室も開設。

撮影・インプレス 鈴木雅之


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