夢のサンタクロース

文/橋本貴美子
フラワーアレンジメント/芳谷里佳

 皆さんは幾つまでサンタクロースを信じていましたか?
 私にとって忘れられないクリスマスイブは12歳のとき。毎年の恒例としてベッドの脇に靴下を吊り、床に就きました。翌朝サンタクロースからのプレゼントを胸に、楽しい思いで階下に下りると、弟が「お姉ちゃん、サンタってお母さまだって知ってた?」と私に現実をつきつけました。
 この弟の一撃で私のサンタ神話が崩れ去ったのです。
 この夜、母は多忙ななか、深夜に開いているおもちゃ店を探し、やっと帰宅し眠っている私たちの枕元にそっとプレゼントを置いてくれたそうです。ところが、目敏い弟はその忍び足に気づき大きな眼を見開き、確かに母の動向を目撃してしまったのでした。
 最近の子どもたちは幾つになるまでサンタを信じているものなのでしょうか?叶えられないことがないくらいにさまざまな情報が子どもたちを取り巻き、おもちゃの世界にまでバーチャルが活用される現在です。青少年の猟奇的な事件、性犯罪、精神的な病の報道は珍しくなくなってしまいました。
 必ずしもこれが解決へとつながる糸口ではないでしょうが、夢と現実のバランスを上手に取る方法を大人が教えなければいけないように思います。
 “やさしさ”“愛情”“希望”といったものは言葉はあっても実際にそのものを目にすることはできません。しかし、それらは確かに存在し、私たちは感じ取ることができるのです。
 これは大人も同様のこと。私は“夢”を見失うほど悲しいことはないと思っています。夢の中身はなんでもいいのです、それは心のなかに持っているだけで人を輝かせる魔法のようなものですから。
 至るところが、華やぎに包まれるクリスマス。今年は、いつのまにか置き去りにしてしまった大切なものを素直に取り戻す暖かいときを過ごしたいものですね。

 
今月のアレンジメント

花材
りんご、スプレーバラ(赤)、ポプラコーン、ひいらぎ、松笠

ポイント
赤はキリストの血と喜びを、緑は常緑樹で永遠の命を表します。
今回はこの2色を用いてクリスマスパーティーのテーブルセッティングのアレンジメントを作成しました。りんごは小ぶりのものを使い、バランスをみながらオアシスに留めていきます。ポイントは所々に入れたゴールドのポプラコーンと、スプレーバラ。この二つを用いることでりんごのピラミッドにアクセントがつきますから、適当な間隔を開けてりんご同様オアシスに留めていきます。
アレンジメントとキャンドルの下にはヒイラギを敷いていますが、テーブルの飾りつけにも使えるのでぜひ参考にしてみてください。
 
橋本貴美子
エッセイスト。毎日放送勤務の傍ら、料理やフラワーアレンジメントに関するエッセイを執筆中。昨年度『りぶる』で紹介した遊学中のメンフィスでの思い出とミートロールのレシピが好評。今月からスタートする本コーナーでは毎月、花をテーマにしたエッセイを連載。

芳谷里佳
フラワーコーディネーター。フランス・ピヴェルディ校にて、フラワーアーティストの研修に参加。その後オランダ、ドイツのフローリストに師事。現在はウェディング、パーティー、レストラン装花、空間装飾を手掛ける。ヨーロピアンアレンジメント教室も開設。

撮影・インプレス 鈴木雅之


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