浜内千波の料理おさらい帳
おいしいごはん 基本のひとさじ 

[其の九] 胡麻油

食欲をそそる、ふくよかな香り。
天然の抗酸化物質がたっぷり含まれている胡麻油は、
日本でも古来より使われ、人々に好まれてきた調味料です。
今回は、胡麻油の使い方を紹介します。

浜内千波 はまうち・ちなみ
徳島県生まれ。大阪成蹊女子短期大学栄養課卒業後、OLを経て岡松料理研究所へ入所。90kgあった体重をヘルシーな食事で落とした経験があり、健康的なダイエットのエキスパート。「とにかく楽しく、料理をいろんな視点で考える」ことをモットーに活動している。

体に必要な油分

 素材の味をよりおいしくする効果をもたらす油。天ぷらも野菜炒めも油がからまることによって、風味が際立ちます。少量で高カロリーな油は、ダイエットを妨げるものとして真っ先にカットされる調味料ですが、まったくとらないと肌荒れなどのトラブルを引き起こす要因にもなりかねません。
 油のとり過ぎはよくありません。しかし、毎日ほんの少し取り入れることは、体にとって必要なことなのです。

胡麻油の種類と効用

 料理にひとたらしするだけで香りがふわっと広がる胡麻油は、日本で最も古くから使われている油です。天ぷら油のなかに胡麻油を少したらすのは、江戸時代も行われていました。
 胡麻油は大きく分けて焙煎と精製の2種類があり、特徴に違いがあります。

焙煎胡麻油 ……熱を加えて焙煎した胡麻から採った油。高い温度で深く煎ると色濃く濃厚な胡麻油に、低い温度で浅く煎ると、胡麻本来の風味や甘さが引き立った油になる。

精製胡麻油 ……焙煎しない、生のままの胡麻油。無色透明で、香りも弱いが味にキレがある。ドレッシングとしてサラダなどに使われる。

 胡麻油に含まれる天然の抗酸化物質、ゴマグリナリンが油の酸化を抑えるため、油自体が古くなりにくく、揚げ物はカラリと揚がります。また、胡麻油は、不飽和脂肪酸がとても多いので、体の中でも分解されやすいのです。胡麻油を上手に取り入れて、いつもの料理より一つ上のおいしさを手に入れてみませんか。

胡麻油基本の  胡麻油の使い方
サラダ油よりも酸化しにくく、ヘルシーな胡麻油。
味に華を添えるだけでなく、さまざまな活用法があります。

【照りや香りをつける】
香り付けや素材のツヤ出しに使うと、味に深みが出て風味豊かな仕上がりになります。胡麻油は加熱すると香りがとびやすいので、火を止める直前に回し入れるのがポイント。

【色落ちを防ぐ】
なすやピーマンなどの色鮮やかな素材は、火にかける際に油を使用することで色落ちが防げます。中華料理では、胡麻油が活躍しますね。

【カロテンの吸収率を上げる】
有色野菜に少量の油を加えるだけで、体内に吸収しにくいβカロテンなどの脂溶性ビタミンの吸収率が向上します。ドレッシングの代わりに胡麻油を用いてもいいです。

ワンステップUP!
煮物などをつくる際に、大根など煮崩れやすいものを少量の胡麻油でさっと焼いてから鍋で煮込むと素材がコーティングされて崩れにくくなります。また、フライパンで焼くことで、素材に含まれる水分がとばされて煮汁を吸い込みやすい状態になるため、芯まで味のしみた煮物ができます。


食欲をそそる風味豊かな香りを味わう
大根のうま煮

■材料(4人分)
大根……1/2本
豚ひき肉……100g
万能ねぎ……適量
下ごしらえ用胡麻油……適量

【調味料】
胡麻油……大さじ2
だし……3カップ
薄口醤油……大さじ3
みりん……大さじ3
水溶き片栗粉……適量

(1人分172kcal

●作り方
1. 大根は少し厚めに半月切りにする。
2. 熱したフライパンに下ごしらえ用の胡麻油をひき、大根に軽く焦げ目がつく程度まで焼く。
3. 鍋にだしをはり、大根を入れてひと煮立ちしたら、あくをとりながら煮込んでいく。
4. 熱湯でさっとゆがいた豚ひき肉を(3)に入れてさらに煮込む。
5. 具材が柔らかくなったところで、水溶き片栗粉を注ぎ入れる。
6. 仕上げに胡麻油を回し入れ、火を止める。
7. 器によそい、小口切りにした万能ねぎを散らす。