浜内千波の料理おさらい帳
おいしいごはん 基本のひとさじ 

[其の一]

“さじ加減”という言葉がありますが、
料理は調味料のさじ加減がとても大事。
味をつけるだけでなく、素材の色を引き出し、
風味をよくするなど、さまざまな役割があります。
初回は、上手な塩の使い方を紹介します。

浜内千波 はまうち・ちなみ
徳島県生まれ。大阪成蹊女子短期大学栄養課卒業後、OLを経て岡松料理研究所へ入所。90kgあった体重をヘルシーな食事で落とした経験があり、健康的なダイエットのエキスパート。「とにかく楽しく、料理をいろんな視点で考える」ことをモットーに活動している。

塩はおいしさの根源

 
皆さんは、「塩」にどのようなイメージを持っていますか。現代の食生活は塩分過多になりがちで、「塩は健康をおびやかすもの」のようにとらえられていることもありますが、塩分は、私たちの身体に必要であり、おいしさの根源でもあります。
 まろやかでクセのない塩味はさまざまな料理に取り入れられており、最近では「塩ぽん酢」や「塩だれ」など、調味料の分野でも人気のようです。

適切な塩の分量を知る

 さて、皆さんは料理の際、塩をどのように加えていますか。手塩、あるいは振り塩の方がほとんどだと思います。目分量や感覚で、となると塩分の取り過ぎにつながりかねませんね。ここで一つ、適切な塩の分量について考えてみましょう。それには、人間の体液が深く関わってくるのです。
 体液の塩分濃度は0.9%です。それよりも少なくなると、「味が薄い」と感じられます。ですから、料理の際は、材料の全体量に0.9%をかけてみてください。出た数字がその料理に必要な塩分量になります。(下記参照)
 野菜の塩もみには0.5%を水に取らずにもみこんで絞ります。変色防止には、水の0.5%、色を出す場合やパスタをゆでる際は1%、ゆで卵やポーチドエッグには5%を目安にするといいでしょう。
 夏は汗をかく分、体が濃い味を求めますね。また、白米を食べる際は味がないため、塩気が欲しくなります。そこで、適切な塩の摂取量を知ることが重要なのです。

基本の 全体の重さ×0.9%=必要な塩分量
まず、材料の重さをすべて足し、そこに0.9%をかける。
たきこみごはんの場合……
 ○米3合  840g
 ○筍   150g
 ○油揚げ   15g
 ○鳥肉  100g
      955g

955×0.9%=8.6g

上記の材料でつくるには、塩は8.6g(小さじ約1杯半)必要となる。

ワンステップUP!
 塩の代わりに醤油を使う場合、塩を100%と考えると醤油は塩分16%、つまり1/6の量しか含まれないため、大さじ約3杯(小さじ約9杯)程度の醤油がいります。素材の色味や風合いによって、必要な塩分量に合わせて調味料をうまく使うと、幅が広がりますね。

調味料塩分含有量(100gあたり)
 醤油……15g
 味噌……12.4g
 トマトケチャップ……3.3g
 マヨネーズ……1.8g
 コンソメ(キューブ1個)……2.7g
 かつお昆布だし(顆粒)小さじ1……1.6g
 中華味の素、小さじ1……1.8g


塩で野菜の色を鮮やかに引き立たせる
洋風たきこみごはん

■材料
米……3合
玉ねぎ……1/2個
にんじん……50g
セロリ……1/2本
マッシュルーム……4粒
鶏モモ肉……150g
筍……150g
グリンピース……50g

【調味料】
塩……大さじ2/3
バター……大さじ2
こしょう……適量

●作り方
1. 米は洗って水気を切る。
2. 玉ねぎ、にんじん、セロリはみじん切りに、マッシュルームは薄切りにする。
3. 鶏モモ肉を1cm角切りに、筍を一口大に切る。
4. 熱した鍋にバター大さじ1を落とし、(2)を順番に入れて炒める。
5. 鶏モモ肉を入れて軽く炒めたらバター大さじ1を加え、米を入れてさらに炒める。
6. 塩、こしょうをふってざっと炒めたら水を入れてひと煮立ちさせる。
7. 筍を加えてから鍋に蓋をし、弱火で15分熱した後で火を止め、10分蒸らす。
8. グリンピースは熱湯に塩を1%入れて茹でたらそのまま冷やし、十分冷めたところで水気を切って炊きあがったごはんと混ぜる。


【余計な味をつけなくてもちゃんとおいしい】

うま味成分をたっぷり含んだ鶏肉、玉ねぎが入っているから、コンソメの素などの添加物を入れなくてもしっかり味が出ます。にんじんの赤、グリンピースの緑を引き立たせるため、塩をベースに使いました。栄養価が高い緑黄色野菜と旬の筍を活かしたまろやかな味です。たきこみごはんは、五目やキノコ、魚介など材料の風味を出す場合は醤油、と使い分けるとよいでしょう。