復活の春

文/橋本貴美子
フラワーアレンジメント/芳谷里佳

 日本ではあまりなじみのないイースターですが、これはキリストがゴルゴダの丘で十字架にかけられた後、3日後に復活したことをお祝いするお祭りです。
 毎年、春分の後の最初の満月、その後はじめての日曜日が復活祭に当たります。
 日本ではちょうど百花繚乱、最も美しい春を迎えるころです。
 このころは近所の桜も競い合うように花開きますが、私はどちらかというとその最盛の一歩手前を毎年楽しんでいます。
 自宅のあるマンション前の下り坂は美しい桜並木であり、春夏秋冬日々目にしている風景なのですが、毎年2月下旬くらいから刻々と変化を遂げていきます。
 真冬には日本画に描かれているような黒味の濃い勇ましさを感じさせる幹が、春の日差しを感じるころになると、黄味とも白味とも、霞の如く柔らかなやさしい様相へと変わっていきます。
 その光景は数週間後に訪れる満開の季節を予感させてくれるものであり、この開花への長い準備期間があるからこそ、懸命に花をつけるわずかな時間がよりいっそう美しく感じられるのでしょう。
 マイナス部分が多ければ多いほど、プラス部分へともっていくには大きなパワーが必要です。しかし、その分転化させたときの喜びは大きいもの。
 私もこれまで、なにかもめごとが起こったときは“決着点”へ向けてすべてのパワーをフル回転させて解決に当たりました。いま思うと、この過程に一つの楽しさがあったような気がします。
 復活へ向けてのチャージをどう過ごすのか、咲くとき以上にその過程こそがきっと大切なことなのでしょう。
 キリストの復活は人々の希望でした。諦めるのはいとも簡単なことです。
 春は入学、入社など新しい季節のはじまりです。スタートの季節であるこの春。たとえマイナスからの出発であっても、自分の底力を信じて進みたいですね。

 

今月のアレンジメント

花材
イエローサルタン、ヒヤシンス、コアニー、ラナンキュラス、ミモザ、ウズラのタマゴ

ポイント
日本ではあまりイースターを祝う習慣はありませんが、今回は新しい生命と復活の象徴であるタマゴの形の器を使ったアレンジメントをつくってみました。花の間にはモザイクのようにウズラのタマゴを配置し、サイドにはニワトリの飾りを配置することでタマゴ型の器が引き立つようにしてあります。
こうした春のアレンジメントは、全体に明るい花材を使い、春の訪れを感じさせる愛らしく楽しいイメージのアレンジメントに仕上げるように心がけてください。

 
橋本貴美子
エッセイスト。毎日放送勤務の傍ら、料理やフラワーアレンジメントに関するエッセイを執筆中。昨年度『りぶる』で紹介した遊学中のメンフィスでの思い出とミートロールのレシピが好評。今月からスタートする本コーナーでは毎月、花をテーマにしたエッセイを連載。

芳谷里佳
フラワーコーディネーター。フランス・ピヴェルディ校にて、フラワーアーティストの研修に参加。その後オランダ、ドイツのフローリストに師事。現在はウェディング、パーティー、レストラン装花、空間装飾を手掛ける。ヨーロピアンアレンジメント教室も開設。

撮影・インプレス 鈴木雅之


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