浜内千波の料理おさらい帳
おいしいごはん 基本のひとさじ 

[其の三] だし

ひと手間で本格料亭の味になる「だし」
素材のうま味が凝縮しただしは、香づけや風味だけでなく、
料理そのものの味を際立たせ、深みを与えます。
今回は、効果的なだしの取り方を紹介します。

浜内千波 はまうち・ちなみ
徳島県生まれ。大阪成蹊女子短期大学栄養課卒業後、OLを経て岡松料理研究所へ入所。90kgあった体重をヘルシーな食事で落とした経験があり、健康的なダイエットのエキスパート。「とにかく楽しく、料理をいろんな視点で考える」ことをモットーに活動している。

だしは料理の“要

 料理をする際にいちばんの要となるのは「だしの味」です。だしは、言わずと知れたうま味成分の集合体。素材の味を際立たせ、料理に深みを与える大切なもの。おいしい食卓はだしからはじまるのです。

素材や料理で選ぶだし

 ひと口に「だし」といっても用いる素材によって風味は異なります。基本的に野菜主体の料理には肉や魚など動物性のだし、逆の場合は植物性のだしを加えると相乗効果でうま味がグッと引き出されます。市販のだしは便利で使いやすいですが、素材から煮出しただしは、香りが高く深みも増します。そこで、一般によく使われるだしの種類と取り方を紹介します。

醤油 基本の  鰹昆布だしの取り方

 鰹にはうま味成分イノシン酸、昆布にはグルタミン酸が多く含まれる「だし」の王道。ここで基本的な鰹昆布だしの取り方をおさらいしておきましょう。

【材料】
・水 ……4カップ800cc
・昆布 ……16g(水の2%の分量)
・鰹節 ……16g(水の2%の分量)


【作り方】
(1) 鍋に入る長さに昆布を切り、水に浸す。(前夜から浸しておくとよい)
(2) 昆布のぬめりと臭みが出ないよう、弱火でうま味を煮出す。
(3) 昆布のうま味がいちばん引き出せる50〜60度の温度を保ち、5〜6分煮る。
(4) 鍋の昆布を出して強火にし、沸騰したら鰹節を加えてひと煮立ちしたら火を止める。
(5) (4)をペーパーでこして一番だしの出来上がり。

ワンステップUP!
 香り高い一番だしは、すまし汁や季節感の食材などでつくる薄味の含ませ煮などが最適です。しかし普段の料理には上品過ぎる味なので、家族の食卓では二番だしとブレンドして使うとよいでしょう。二番だしは、一番だしを取り終えた昆布と鰹節を水で再び煮出し、沸騰したら鰹節をひとつかみ加えて再沸騰したら火を止めてこします。短期間であれば保存も可能なので、つくっただしは料理に合わせてブレンドの割合を変え、上手に使いましょう。


鰹だし …… 沸騰した湯に鰹節を入れたらさっと火を止めてこす。薄い削り節は煮立て過ぎると臭みが出るため、火を止めたら手早くこす。たけのこ、含ませ煮などに最適なだし。
昆布だし …… 上記「鰹昆布だしの取り方」を参照。だしにする際、家庭では日高昆布がお勧め。湯豆腐などによく使われる。
椎茸だし …… 砂糖を少々入れたぬるま
湯に水量4%程度の重さの干し椎茸を浸しよく混ぜる。水だと戻すのに時間がかかり味を損ねるため、必ずぬるま湯で。砂糖を加えると椎茸が早く柔らかくなり、おいしくもなる。
いりこだし …… 一晩水に浸けてから頭と腹を取り、水から煮出してあくをきれいにひく。2〜3分コトコト煮た後にペーパーでこす。沸騰し続けると臭みが出るため火加減に注意。いりこは水量の4%程度の重さを使う。味噌汁との相性は抜群。


素材にからむ香り高いだしを味わう
ほうれん草のお浸し

■材料
ほうれん草……400g
鰹節……5g


【調味料】
だし(1.5番だし)……1カップ
醤油……大さじ2
みりん……大さじ2

●作り方
1. だし、醤油、みりんを合わせ、鍋でひと煮立ちさせる。
2. ほうれん草は熱湯に塩を入れて茹でたら、すぐに冷水に取る。
3. (2)を水気を切りながら醤油(分量外)をたらしてしっかり絞る。
4. ざく切りにして(1)に20〜30分浸す。
5. 十分汁を吸った(4)を絞らずに器に盛り、鰹節をのせる。



“だしにひと手間”で本格料理

だしをつくる、となると何となく気合いが入りますが、角度を変えてみるとこのひと手間で本格的な料理になるということです。私が料理をはじめる際は、まず水に昆布を入れて弱火にかけ、それから冷蔵庫をのぞきつつメニューをまとめていきます。そうするとだしがひけたところに材料を切ったり煮たり、作業がスムーズに進むのです。皆さんもおいしさのためにだしづくりからはじめてみてください。きっと、格別のおいしさにつながりますよ。