海がくれる癒し

文/橋本貴美子
フラワーアレンジメント/芳谷里佳

 先日、南紀白浜へ家族旅行をしました。白浜は和歌山県にある海水浴場で、ここには京都大学が研究のために設立した水族館があります。
 わが子は大のお魚好き。これはほぼ100%、ディズニー映画「ファインディングニモ」の影響です。「水族館だよ」と聞けば、熱帯魚たちの色鮮やかな美しい世界を想像していたはずなのですが、入館と同時に目の前に広がる水槽には決して美しいとは言い難い魚が群をなして泳いでいました。
 今回最も驚かされたのは「ひょうもん蛸」という毒を持つ蛸。
 蛸は一般にスミを吐き出し天敵を威嚇することで知られていますが、この「ひょうもん蛸」には墨がありません。毒を持ち、噛みつくことによってその威力を発揮させるのです。決して大きくないその姿は、まるで豹のような丸文様、それが状況により変色します。はじめて目にするこの生物にあらためて海の神秘を感じるとともに、たくさんの目にしたことのない水中生物を間近で見ることができ、とても興味深い体験でした。
 地球の大部分を占める海への想像は、「浦島太郎」や「人魚姫」といった童話からもふくらみました。幼少のころには弟の鯉幟を拝借し、両足をつっこんで人魚姫になりきったものです。
 海は子どもたちだけではなく、大人にも夢と癒しを与えてくれる場所のように思います。都会は騒音が常に存在し、気づかぬうちにイライラをつのらせていることも。わが家も近くに新幹線が見えて、遊びに来る子供には大人気ですが、知らない間にストレスになっているのかもしれません。
 そんなストレスを取り払ってくれるような、永遠に繰り返される海の波音。誰もが一度は経験したことのあるその心地よさですが、これを簡単に日常生活に取り入れるというわけにはいきませんね。
 そこで考えたのがトイレの手洗いシンクに貝殻と青色ビー玉を置き、手を洗う度にキラキラと光る“海の青”をつくること。今月のお花のように海を感じ、涼しさも演出されたら素敵ですね。

 

今月のアレンジメント

花材
デルフィニウム、ホワイトレースフラワー、トルコキキョウ、貝殻、パウダーオアシス(ブルー)

ポイント
今月のアレンジメントは、周りにパウダーオアシスを散らして海の世界をイメージしてみました。
貝殻と花をひとつの花器に置いていますが、メインはあくまでも花になるように、バランスの調節をしてみてください。花は海のイメージでまとめるため、青や白い花を使っています。今回使用した以外にも涼しげな花は多くありますので自分なりの工夫を凝らしていただければと思います。

 
橋本貴美子
エッセイスト。毎日放送勤務の傍ら、料理やフラワーアレンジメントに関するエッセイを執筆中。昨年度『りぶる』で紹介した遊学中のメンフィスでの思い出とミートロールのレシピが好評。今月からスタートする本コーナーでは毎月、花をテーマにしたエッセイを連載。

芳谷里佳
フラワーコーディネーター。フランス・ピヴェルディ校にて、フラワーアーティストの研修に参加。その後オランダ、ドイツのフローリストに師事。現在はウェディング、パーティー、レストラン装花、空間装飾を手掛ける。ヨーロピアンアレンジメント教室も開設。

撮影・インプレス 鈴木雅之


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