浜内千波の料理おさらい帳
おいしいごはん 基本のひとさじ 

[其の十二] ウスターソース

洋食文化とともに、海を越えてやってきたウスターソース。
野菜や果実などのジュース、ピューレに香辛料、だしなどを
ブレンドしたうま味成分たっぷりの液体調味料は、
家庭料理にも多用されます。
今回は、“西洋の醤油”であるウスターソースを紹介します。

浜内千波 はまうち・ちなみ
徳島県生まれ。大阪成蹊女子短期大学栄養課卒業後、OLを経て岡松料理研究所へ入所。90kgあった体重をヘルシーな食事で落とした経験があり、健康的なダイエットのエキスパート。「とにかく楽しく、料理をいろんな視点で考える」ことをモットーに活動している。

熟成した西洋の醤油

 野菜や果物の絞り汁を濃縮し、香辛料や塩、砂糖、酢などを混ぜて熟成させるウスターソースは、うま味成分のコクと香りが楽しめる“西洋の醤油”です。洋食にぴったりのソースは、19世紀後半ごろに、イギリスで生まれました。ある貴族がインドから持ち帰ったソースの作り方をジョン・リーとペリンという2人の人物に命じて作らせたところ、失敗。そのまま放置していた樽をある日開けて味見をしたら、おいしいウスターソースができていたとか、はたまた主婦が野菜の切れ端にスパイスをかけたらできたなど、複数の逸話が残っています。
 本場のウスターソースは、アンチョビなども主原料として入っているため、日本で市販されているものとは味が違います。イギリスで老舗のソース会社「リー&ペリン社」のウスターソースが置かれているお店は、ひと味違った本格的な味わいがいただけるのではないでしょうか。

隠し味に最適なコクと甘味

 最近のウスターソースは、あまりスパイスが強くなく、フルーティーでやさしい口当たりのものが好まれているようです。まろやかなテイストのものは、隠し味にも重宝しますので、カレーや煮込み料理の隠し味に加えたり、お好み焼きやハンバーグなどのソースのベースに合います。トマトケチャップで割ると、甘さもちょうどよく、コクや深みが出るため、おすすめです。
 また、ウスターソースから派生した中濃ソースや濃厚ソースなど、粘度の強いものや味にアレンジをきかせたものも出ているので、料理によって使い分けてもよいでしょう。(下表参照)

ウスターソース 基本の  代表的な種類と特長
国内でも地方によっても使われる種類が異なるソース。
ウスターソースから派生して生まれた代表的なソースを紹介します。

さらさら
ウスターソース
粘度がほとんどなく、さらりとしたソース。フルーティーでスパイシーな味。ソース焼きそば、とんかつ、お好み焼き、たこ焼き、そばめし、コロッケなど幅広く使われる。
  中濃ソース
主に関東地方より北で一般的に使われる頻度が高いソース。ウスターソースより若干甘味が強く、ケチャップ同様、子供も好む味。基本的にどんな料理でも対応可能。
 

特濃ソース
中濃ソースより粘度を強くしたのが特濃ソース。ソースの味をより味わいたい料理の場合は、こちらをチョイスすると一段と濃い味が楽しめる。

  濃厚ソース
揚げ物に合うこってりソース。原材料や調味料の成分をフライ専用に特定した「とんかつソース」もある。
こってり
お好みソース
お好み焼きやたこ焼き用に粘度や風味を調整したソース。もったりしていて、甘味やだしの味がほかのソースより秀でている。

※メーカーによって粘度や味は異なる場合があります。


ウスターソースのうま味がしみた 本格ビーフポトフ
牛肉の欧風煮込み

■材料(4人分)
牛すね肉……1kg
にんじん……1本
じゃがいも……小4個
玉ねぎ……2個
サラダ油……適量
水……800cc

【調味料】
ウスターソース……200cc
塩……適量
ローリエ……適量
塩(下ごしらえ用)……適量
こしょう……適量

(1人分522kcal

●作り方
1. 大きめに切った牛肉に塩、こしょうをふり、サラダ油でしっかり全面焼き付ける。
2. 鍋に水と(1)を入れ、火にかける。
3. (2)にローリエを加えてふたをし、沸騰したらあくを取り、弱火でじっくり煮込む。
4. 牛肉が柔らかくなったら、じゃがいも、にんじん、玉ねぎを入れ、
  ウスターソースと塩を加えて30分程度ぐつぐつ煮る。
5. 塩、こしょうなど調味料で味を調える。


うま味をぐんと引き出すソース

ウスターソース、皆さんはどのように使っていますか?お好み焼きやたこ焼きにかけたり、カレーやビーフシチューの隠し味に加えたりと、家庭の食卓でも十分に活躍してくれる調味料なので、私は幅広く使っています。ソースなどのブレンド調味料は、そのままでも使える便利なものですが、中濃やとんかつソースと違ってウスターソースは少し使い勝手が悪いため、ついもて余し気味になってしまいますよね。でも、野菜や果物などのうま味成分が濃縮したおいしいソースですから、冷蔵庫に寝かせておくのはもったいない!これを機に、料理の隠し味などにどんどん使ってくださいね。