|
テロ根絶に向け努力しよう
先週アメリカで起こったイスラム過激派によると見られる同時多発テロは、自爆テロに巻き込まれた民間機の乗客乗員、攻撃されたビルに勤務していた人々、倒壊したビルに飲み込まれたニューヨーク市の消防士、警察官など多くの何の罪もない人々の生命を奪い、傷つけ、大きな破壊をもたらしました。
私はこの文明社会、法治国家に対する野蛮な暴力行為に激しい怒りを感じると共に、被害を受けられた方々、そのご家族をはじめとする関係者に対し、心からのお見舞いを申し上げたいと思います。
今回の事件で現代社会において市民の生命・財産を守るため、狂信的なテロ集団の暴力をいかに封じ込め、根絶していくかが極めて重要な課題であることがますます明らかになりました。テロ集団の動きを察知し壊滅させるために、政府全体の情報収集能力を一段と強化し、治安関係部門の活動を強化することが必要です。アメリカにおける同時多発テロの犯人逮捕に向けての協力を手始めに、国際間の連携強化も重要な課題と考えます。
なお、私は今回のテロに対する激しい怒りをアメリカ政府・アメリカ国民を始めとする世界中の人々と共有する一人ですが、同時にローマ法皇ヨハネ・パウロ二世が、復讐の連鎖を引き起こさないために報復を思い止まる勇気を持つべきであるという趣旨の発言をしておられることを重く受け止めるべきであると考えます。
これはブッシュ大統領をはじめ多くの人々が言及していることですが、イスラム教徒の大半は、テロを支持しているわけでも、容認しているわけでもありません。これは「テロリスト対文明社会」の戦いなのであり、「イスラム対先進国」という構図に持ち込もうとするテロリストの罠にはまってはなりません。
私は外務大臣在任中に外務省内にイスラム研究会を組織し、イスラム社会について認識を深めようと努力してきましたが、そこで得られた知見から総合的に判断すれば、イスラム過激派を追いつめるためにこそ、イスラム世界一般との相互理解と連帯を強めることが必要であると思われます。
また、テロとの戦いを進める一方で、途上国の貧困やパレスチナ問題など、テロリズムの温床や口実となる問題についての真剣な取り組みも同時に加速しなければなりません。私は今年一月に外相として訪米しパウエル国務長官と会談した際に、核軍縮問題や地球環境問題を念頭に、アメリカ外交が国際問題にマルチラテラルな(多国間の)取り組みも重視して欲しいと求めました。テロに対する国際的な取り組みが求められる今、パウエル長官は私の真意を一段と良く理解されたに違いないと思います。
国際社会のテロとの戦いに私たちに何ができるか。どういう方法をとることが一番良い結果に結びつくか。皆さんと一緒に真剣に考え、取り組んでいきたいと思います。
|