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イラク攻撃を問う
先制攻撃は「支持」できない
憲法の理念
国際社会が反対するなか、米国はイラク攻撃に向けた準備を着々と進めている。
「小泉純一郎首相も、国際社会とイラクの問題と位置づけている。それだけに、米国が一国で動くのはいかがか。国際社会の合意を取り付け、まずは外交で折衝するのが何より大事。米国も新たな国連決議への努力はしているが、どうしてもだめなら一国だけでもやろうという姿勢は適当とは思わない」
「イラクが核兵器を使用しそうになっているとか、隣国を侵略したという事実があるなら別だが、 現在は核兵器、大量破壊兵器を隠しているのではないかという段階。そういう状況の中での攻撃は予防的な攻撃、言ってみれば先制攻撃だ。これが認められる国際社会は極めて不安定で怖い。だから、国際社会の一致した考え方として表れる国連決議が採択されることは、非常に重要だと思っている」
新たな国連決議がなければ、イラク攻撃は認められないか。
「米国は日本が「認められない」と言ってもやるだろうが、日本の主張は言わないといけない。米国の主観に基づく攻撃ではだめで、客観性のある事態となるように皆が認めなければならない」
政府は、新決議なしでも米国を「支持」するのでは。
「政府には、米国の行動を支持するなんて言ってほしくない。仮に決議が採択されて出ていっても、そこは相当考えてほしい。わが国憲法は国際紛争を武力で解決しないのが基本的考え方だ。憲法を他国に押し付ける気はないが、少なくとも、「国際社会にとって、ほかに方法がない。やむを得ざることとして理解する」と言うべきだ」
日米同盟重視で、「支持」の姿勢を早くから取っている。
「早いか遅いかというより、国内論議が足りないのが大きな問題。原口幸市国連大使の国連演説は、何を根拠に決めたのか。「万機公論に決すべし」。これが民主主義、国の意思決定をするうえであるべき姿だ。世論と外交のギャップの難しさは、外相の経験から理解できる。難しいとは思うが、今の情勢はこう、本来のわれわれの主張はこうだということを示して議論し、国の主張を絞り込んでいくべきだろう」
政府はイラクや周辺国へ特使を派遣したが。
「日本は、中東に鉄砲を持っていかなかった唯一の国だ。日本とはつらい過去がないので、日本への期待感は大きく、(中東諸国は)喜んで協力してくれる。関係はできてきたと思ったが、今回のことでダメージを受けた」
米国に対する外交努力も必要では。
「日本の同盟関係を考えれば、もっともっと日本の主張を言うべきだ。このまま米国が国際社会のため、正義のためと言って攻撃に踏み切ると、嫌米感情が高まり、国論を二つに割る国も出てくる心配がある。米国もそういうことを知らないはずはないが、日本はもっと赤裸々に言ってあげる仲間となる必要がある」
自国の安全を取引するな
朝鮮半島有事を見据え、ここは米国を支持して恩を売った方がいいとの議論もある。
「イラクという他国の人が相当数死ぬかもしれないことと、日本の安全をディール(取引)してはいけない」
「この半世紀、日本の安全保障は、日米安保と憲法との幅の中で動いてきた。危機感が募ると日米安保の方に行くし、そうでない時は憲法、つまり国際協調路線に寄るわけだ。この幅を行ったり来たりするが、この幅からは絶対出ない。しかし、世話になるからという理由で、日本の基本方針がぐらつくというのはいいことではない」
仮に武力行使が始まった場合、日本ができる支援策は何か。
「支援の中身を考える前に、日本は復興支援ならします、戦乱のなかで出てきた難民支援はしますとしきりに言うが、これは攻撃しようとする人のハードルを下げることになり、あまり安易に言うべきではないと指摘しておきたい」
(聞き手=政治部部次長・佐藤育男)
2003年3月6日付東京新聞掲載
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