米国の同時多発テロ事件で考えるべきことは多い▼日本にとって一番重要なのは、米国がテロ集団に対して報復措置に出た際に、どういう形の協力をするか、だ▼小泉首相は十九日に「自衛隊が後方支援する。情報収集のため自衛艦を派遣する」などの対応策を発表した▼十年前の湾岸戦争のことを想い出す。あの時、日本は憲法に基づいて自衛隊は直接には派遣せず、代わりに百三十億ドルの資金を拠出した。しかし残念ながら、国際的にはほとんど評価されなかった▼もちろん、情況は湾岸戦争の時と著しく違う。今回は安保の同盟国である米国が直接、重大な被害を受けた。日本も多くの人命と財産を失った▼米国からは盛んに「顔の見える支援を」という要請がくる。日本のある閣僚は「湾岸戦争の際の過ちは繰り返さない」と公言している。これらは何を意味するか▼いずれにせよ「米国への協力」というT錦の御旗Uで、自衛隊の海外派遣への解釈が、益々広がりそうな雰囲気である。憲法との関連をより入念に審議してほしい ▼次に重要なのは、このテロの本質は何か、だ。宗教戦争か。民族闘争か。新しいイデオロギーの対立か。これらが混在する新しい形の南北戦争か▼それによって日本の支援の形も違ってくる。日本はキリスト教でもイスラム教でもない。そしてアジアに位置する経済先進国である。テロの本質を見極めるため、欧米だけでなく、もっと広い視野で情報を収集する必要がある▼さらに、米国の報復措置とその支援が、T死の商人Uを喜ばせるようなことがあってはならない▼湾岸戦争から十年。幸い、世界には大きな戦争はなかった。しかし空前の繁栄に潤った米国にも昨年ごろから不況の影がさしてきた▼そのさなかのテロである。再開されたニューヨーク株式市場では、全体が急落する中で、軍需株が上昇した。不気味である。