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同時に何故いったいこうなったのだろう、行き詰まりを打開できなかったのは歴代内閣にやる方法があったと思うのだが。まさに失政の結果だったとしか言えない。
◎「大衆心理と政治の責任」
私の地元徳島では明治維新の時、外様大名の蜂須賀藩は3代目で血統は絶たれ、4代目からは松平など親藩から養子を迎えていた。関ヶ原の合戦以来、筆頭家老だった稲田九郎兵衛が勤皇方につき、本藩と稲田藩が勤皇・佐幕に分かれて揺れていた。版籍奉還や陪臣の給与である秩禄奉還で生活に困る状況となり、上級、下級武士間の相克でお互いに戦った。百姓、町民も250年間の武士の支配に対して怨念が積もって混乱し、開放感から「ええじゃないか騒動」が起こって無秩序状態となった。
防長二州もそうだったが、国全体の民心の流れの底に、同じような気持ちがあったと思う。一党支配が長く続いた後に崩壊し、経済もバブルがはじけて悪化した世紀末の閉塞感打破を願う国民の気持ちと通じるものがあると思う。小泉さんはこうした民心の、変革を望む国民の気持ちをつかんで高い支持を得ているが、こうした変革の時のかじ取りはこれからが大変だ。
最近読んだ司馬遼太郎の「世に棲む日々」では、毛利藩の吉田松陰、高杉晋作ら維新政府を作った人たちは、欧米の近代文明国家の仲間入りをしようという大方針、大目的があったから、萩の乱、佐賀の乱、神風連の乱、秋月の乱、西南戦争も武力弾圧によって乗り切った。
私は小泉さんの改革に大きな期待を持っておりますが、改革には痛みが伴うのでガマンしてくれと言うだけでなく、経済を建て直しこれから先の国民生活をどう守るか将来図をはっきり示す必要があると思う。
◎「田中政治」の流れ終焉
政界はこの20年余りの間に野党に政権が行ったり、分裂があったりしたこともあったが、今日まで田中政治の流れが底流にあったと思いますが、それが国民に受け入れられなくなったと言うのではないでしょうか。まさに今その流れの終焉の時期になったということでしょう。自民党は本当に大きく変わらないと将来がないと言われてきました。その最後の流れの中で、引き金を引いたのは、言いにくいけれども森内閣ではなかったか、残念ながらそう思います。森さんには気の毒だったが、あの総裁選挙のあり方、首班指名のあり方に原因がありました。あの晩の森総理の誕生で五人組批判が起き、マスコミは密室で誕生したと書き立てて批判しました。
党の最高意志決定機関である総務会の池田行彦会長さえ入れておけば党の機関としてやむを得ない手続きと説明できたはずです。もう一点は、小渕さんが緊急入院したときに「後を頼む」と言われた青木さんが首相臨時代理になったのは内閣法上当然のことだったが、理解しがたいのは、あの緊急事態の中で党則に従った総裁選規定により、都道府県連の代表一名をきちっと入れなかったことは党則違反だった。
今の時代、各県に電話でもFAXでも連絡は出来たはずですからねえ。事務当局は「事務の間違いだった」と言っているが、私は事務当局が責任をかぶっただけと思っています。都連の諸君が党大会の会場前で反党活動をしていたが、近代政党はきちんとした手続きを踏み、余り便法に頼ってはいけない。
あのミスを取り返すため、今回の総裁選で森さんの後継を決める選挙では、開かれた姿を見せないといけないと執行部が都道府県連の代表を3名に増員し、その決定を党員投票によることにしたわけです。予備戦ならざる予備選になって、小泉さんが思わぬ大勝をしたわけです。近代政党はルール通りにやらないと結果が大きく間違うことがあるわけで、大いに考える必要があると思います。
これからの政治にとって大事なことは、国民心理の変化を鋭敏な感覚でとらえることです。大衆心理に感応しながら、大衆の目線に合わせ、公共に徹することが大事なのです。
◎したたかさ感じる小泉政治
さて21世紀の日本を変える革命を期待されているのは小泉さんだ。そこでこの120日間に及ぶ小泉政権の姿勢を振り返ると
5月7日の所信表明では
(1) 景気対策の第一として経済緊急対策の実行
(2) 経済財政改革の実行
(3) 競争的産業社会の実現
(4) 財政構造の改革=中期目標の実現
(5) 民間・地方への権限委譲、特殊法人の見直し及び撤廃
(6) 社会構造の改革、バリアフリー、犯罪予防、入管強化
(7) 外交安全保障。日本の外交、国際協調により孤立化を避ける。有事法制などなどだ。
この演説を聞いていると本当にしたたかだと感じた。締めくくりでは長岡藩の米百俵・小林虎三郎の教育に回した故事を持ち出し、改革には痛みが伴うことを抽象的ながら巧妙に盛り込んでいた。総裁選での集団的自衛権、靖国、歴史認識については所信表明で発言せず、質疑の中で答えることにして自分からは発信はしていないと説明している。
疑問を一つ言えば、緊急経済対策だ。これは森内閣で亀井静香さんがまとめたもので、基本は構造改革より先に景気対策をやるというものだ。構造改革が先ではかみ合わないのに党内はもとより野党からも質問がなかった。
もう一点は国際協調と靖国参拝がどう関係するのかだ。更にいきなり首相公選制を述べた。行政府の長は憲法改正について提議はするが発議権はないはずだ。
小泉改革を読むと、小泉さんは全正面同時突破を考えているようだが、重点突破にすべきだ。
それには、経済面では構造改革が先か不況対策が先かという二つの哲学の対立だが、小泉さんは構造改革優先だ。厳しい道だが断行して欲しいと思っているが、不良資産の解消と金融秩序の確立が不可欠だと思う。
一方、制度面では特殊法人の大改革を断固としてやるべきだ。元々、橋本行革の際にイギリスのサッチャー改革の先例を模倣してエージェンシー(独立行政法人)を別に作った。昭和30年代から各省が競って作り、今や足手まといになっている特殊法人と似ている。役人の天下り先であり、私は「役人とはしたたかで知恵のある集団」と言ってはばからない。だから特殊法人は全廃すべきだ。
◎ 「大きな国家目標」
明治5年=教育令、地租条例
明治6年=徴兵令
近代的文明国家を作る、理想国家像を描いた。政策を進め、騒ぎに対しては強権で弾圧して成し遂げた。
小泉さんは日本を変えると言っている。政治を変えるには痛みが伴う。傷が深くなればガマンが出来なくなる。国の姿、つまり日本の経済、国民の暮らしについての理想の形をきちんと国民に示せば痛みはガマンしてもらえる。大衆の心理は敏感に反応する。新しい時代を作るのは政治家の務めだ。維新の変化や戦後20年代の政治の動きと重なる。繰り返して言うが、肝心なことは先行きの姿を示すことだ。
政治に大事なことを3つあげろと言われれば私は
(1) 時代を見る目、次の時代を描く力
(2) この図面を現実に実現する力
(3) 大衆を引っ張る力、指導力だ、と答えたい。
更に具体的な名前を挙げろと言われれば、現役では支障があるから
(1) 維新政府を立ち上げ、基盤を作った大久保利通
(2) 政党政治を創設した原敬(大正8年)
(3) 戦後の日本の基礎を築いた吉田茂と言っておこう。
麻生太郎氏 明治維新改革は国家像を描いたが、新しい日本の姿を描くとしたら。
後藤田氏 「平和な国・日本」「内政外交共に共生の国・日本」「主体制を持った国・日本」をあげる。アメリカ一辺倒でなく、ウェイトの置き方を考え直さんといけない。
相沢税調会長 小泉総理の全正面作戦は問題だ。特殊法人だけでも全廃させる重点突破、全面展開の戦略でやるべきだ。各省は大きなショックを受けており行政がストップしかねない。
後藤田氏 臨時国会に提案する補正予算の編成は難しい財源問題があるが、暮れの14年度予算編成で「アリの一穴」にならないように、安易な国債の増発は避けて欲しいと思う。またそれは可能なはずだ。
鈴木恒夫代議士 投票率の低さをどう考えるか。無党派層の政治に対する判断力が心配だ。
後藤田氏 無党派層はいつでも投票者の三分の一程度あり、政治が極端に右に行ったり左に揺れた場合、バランスを取る作用をしてきた安定勢力だった。政治意識の高い層で、今回は日本を変えて欲しいという人たちが、小泉さんの出現で六〇%の勢力になり、それが変革を求める勢力になった。無党派層に目を向けないとこれからの政治はやっていけない。
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