多くの希望をもって幕を開いた21世紀も、最初の1年は残念ながら何ともすさまじい年だった▼米国の同時多発テロ、それに続くアフガニスタンを舞台にした空爆、内戦、多数の犠牲者、新たな難民の大群…▼この戦争にはまだ名前がつかない。ブッシュ米大統領は、これを「新しい戦争」といった。また「十字軍」とも いった。もっとも、この方は、直ぐ取り消したが。それだけ背景は複雑だ。▼新世紀の1年を終えた現在、改めて20世紀の国際的な動きを振り返ってみよう。前半は、二つの大戦で明け暮れた。後半は米国とソ連を巨頭とする”東西対立”が続いた▼最後の10年の時点でソ連が崩壊し、米国は空前の経済繁栄を謳歌した。その結果”東西対立”は消滅し、米国の一極支配が始まった。それが21世紀初頭の国際社会の姿である▼やや古風な言い方をすれば「パックス・アメリカーナ」(米国の力による平和)の時代に入った、と見られていた。だが、そう簡単ではなかった。 ▼もちろん、一般市民を巻き込むテロ事件は絶対に許せない。主犯は米国の軍事力でいずれ制圧されるだろう。しかし、それだけで全てが解決できるとは到底思えない▼背景には歴史的な、宗教や民族の対立がある。そのほかに先進国と開発途上国、経済的に恵まれた国と最貧国という対立もある。長い間の、先進国の傲慢さに対する怨念もあるだろう。これらが複雑に絡んでいるのではないか▼その視点から見れば、このテロ事件は新しい“南北対立”の縮図の一つである。新世紀の初頭に”南北対立”が激しく突出したのも故なしとしない▼アジアに位置し、しかも経済力が世界第2位の日本は、世界の舞台でどういう役割を果たすべきか。今まさにそれが問われている▼最強国の後方支援をしているだけで「我がこと足れり」としている時ではあるまい。