参院選は自民党が大勝した。河野洋平代議士が17区選対本部長をつとめた神奈川選挙区の小林温氏もゆうゆう当選した。まずはご同慶の至りである▼しかし、改めて考えてみると、日本人というのは不思議な民族だ。ついこの五月までは、参院選は自民党が惨敗する、との予想が支配的だった。それが、総裁1人が変わっただけで、世論の雰囲気がガラリと変わった▼自民党はこれまでも、形勢が悪い場合は、シャッポ(帽子)を取り替えて、急場を切り抜けてきた。しかし今回ぐらい成功したのも珍しい▼小泉純一郎首相は、確かになかなかの人物である。しかし自民党にとって、かねてからの「隠し玉」だったり、とっておきのエースだったかというと、必ずしもそうでもない▼厚生大臣などを歴任したが、それほど目覚ましい実績を挙げた訳でもない▼これまで党の総裁選に2度立候補したが、いずれも当選には遠く及ばず、どちらかといえばドン・キホーテ的な存在だった。それが首相になった途端、爆発的な人気を得て、党にとりまさに救世主的な存在になった。 ▼なぜか。小泉さんの持つ「目新しくて、何かやりそうな雰囲気」もあるが、主として、前任者に対する相対的な評価だろう▼しかし、いかに前任者がひどく、国民がいかに新しい有能な指導者を待望していたとはいえ、今回の振幅の激しさは大いに気になる。1人変わっただけで、内閣支持率が10%足らずから80%以上に激変、というのはやはり異常だ。(8月には70%を切ったが)▼世界的に見ると、前任者に対する不満が高まって、新しい指導者が圧倒的な支持を得て登場した場合、政治の流れが極端に偏る例を、私達はしばしば見てきた▼もちろん、日本は民主主義の国だから、そんなことはあり得ない。だが、最近の政治の動きを観察していると、そんな心配もしたくなる▼これを杞憂に終わらせるには、小泉内閣に存分にウデを振るってもらう半面、独走・暴走しないよう十分に監視することだ▼それにしても改めて痛感する。小泉さんは「天の時、地の利、人の和」をうまくとらえた。天下を志す人々は、心してほしい。