第一話。「人生万事塞翁が馬」という中国の故事がある。有名だが簡単に説明しよう▼昔、国境の塞(とりで)に住んでいた一人の老人の馬が隣国の胡に逃げた。ところが、しばらくして胡国の名馬を連れて帰ってきた▼老人の息子がその名馬に乗っていたら落馬して大怪我をした。間もなく胡国が攻めこんできて戦争になり、多くの若者が死んだが、老人の子どもは大怪我のため戦争に行かず、命拾いをした▼ 禍福はあざなえる縄のごとし−よい事があれば悪いこともある。もちらんその裏もある。という故事だが、悪いことの次に必ず良い事がある、と希望的に使いたい▼河野洋平代議士の体調不良が公けになったのは今年1月。そ
れ以来、政界にはロクなことがない。カネをめぐる国会議員の辞職だけでも加藤紘一・元自民党幹事長、辻元清美・前社民党政審会長、井上裕・前参院議長、田中真紀子・前外相。それに鈴木宗男衆院議員も逮捕された▼景気は底這いのまま。株はガタ落ち、民主党は次のアタマを求めて右往左往。こういう時は、まさに天から与えられた絶好の静養期である
▼「風車風のない時は昼寝かな」。将棋の谷川浩司九段の好きな句という▼第ニ話。「天・地・人」子の尊敬する女医さんの話。重病を二つ併発した。医師だから大体の症状はわかる。「もうダメか」と気力が衰えかけた時、主治医に叱られた。「あなたは、まだまだ世のためにすべき事がたくさんある。そんなに早く三途の川を渡るなんて、とんでもない」…▼「なるほど」と考え直したら気力がもりもり湧いて、大手術も乗り越えた。この女医さんは今元気で医療のため大活躍している▼この二話を、平凡ながら河野洋平代議士、そして読者の皆さんに贈る。長年のご愛読感謝します。

 『天・地・人』の語源
 孟子曰く「天の時は地の利に如(し)かず、地の利は人の和に如かず」(孟子・公孫丑下)

 平成10年2月から健筆を揮っていただいた「天・地・人」子・刀禰館正久氏に心から感謝の意を表します。 (春秋編集部)