
| 対米追随の改憲論が台頭=河野 |
![]() 岩見 通常国会が始まって1カ月になりますが、どんな感想ですか。 河野 いつもだと新年度の予算審議がまず行われますが、今度は自衛隊のイラク派遣の承認とそれを含む補正予算の審議が最初でした。与党は審議を何時間やったのだから採決を急げとしきりにせっついてきました。あの状況下で議長は開会のベルを押さないのではないかと憶測もされました。 岩見 確かにそんな声も出ていましたね。 審議時間でなく疑問解消が大事 河野 私は何時間審議したかではなく、どれだけ疑問が解消出来たかが大事だと与党の国対に言いました。つまり野党の質問に対して小泉総理以下同じ答弁を繰り返していたからです。野党の質問のテクニックにも問題があるように思いましたね。イラク派遣の是非を野党が引き出す努力をするよう言いましたし、政府にももっと丁寧に説明するよう求めました。国会の閉会中の自衛隊の派遣命令でしたから次の国会で速やかに承認を求める必要があります。承認を求めるのは12月19日の派遣命令です。 岩見 通常国会が始まって速やかに承認が必要ということですね。 河野 与党がしきりに早く採決をやってくれと求めてきたのはここでやらなければ参議院の審議もあるし、暫定予算を組むことになり、景気回復にマイナスになると言うのです。そうした事もありますが、この承認案件が混乱なくイラク特別委員会で採決され、議院運営委員会できちんと結論が出たら私はベルを押すと言ってありました。特に民主党の国対には貴方たちが二大政党時代が来たというのなら、国会運営の半分の責任を民主党が担うべきだと言っておいたのですが、出てこないんですね。党内の命令系統にも問題があるようで、党内の意志もなかなかひとつにならないようです。 岩見 完全な二頭政治になっていますね。 河野 何度か議長室に自民党と民主党の国対委員長を呼んで双方の話を聞いたところ、自民党は相当譲歩する意志があるので、民主党の代表にアドバイスしました。党に持ち帰りましたがそのころには、菅代表はもう駅頭で断固拒否と演説していたようですね。 岩見 なんとも荒っぽい話ですね。 河野 それではどうにもならず、結局は残念ながら片肺採決にならざるを得なかったのです。 大人気ない野党の採決ボイコット 岩見 まったく大人気がないですね。 河野 自民党がびっくりするほど民主党案を呑んで譲歩したのは翌日、旭川で小泉さんが出席するイラク派遣の隊旗授与式があるし、続いてアメリカからアーミテージ国務副長官が来るのでいい顔をしたかったのですよ。民主党はこの法案を通してしまう とイラク特で自民党は何もやらなくなると心配していましたが、イラク情勢が変われば開会するし、イラクに関する事情に変化があれば開くと言っていたのです。 岩見 満足していいはずですね。自民党の造反 三人組の処分はあれだけのことですか。 河野 議場に入る時にも事務方から3人がどうなるか目配りをと言われ、もう一人も気をつけて下さいと言うのでてっきり太郎のことかと思っていたところ、中野寛成副議長のことでした。民主党の前幹事長でしたから副議長で議長を補佐する役割があるので、議席にいましたがやはり一人だけ反対しました。亀井さんは欠席し、加藤さんと古賀さんは退席したので起立採決を行いました。 岩見 世論がこれだけガタガタしているのですから、自民党の中でもっと造反議員が出てもおかしくはないですね。 施政方針演説を見守る河野議長(1月19日、衆院本会議場で) イラク派遣では若手の賛成多数 河野 かつては造反したいのが一杯いました。むしろ若手が派遣に積極的に賛成しているからでしょう。 岩見 少しは反対があってもおかしくないと思いますが、一種の様変わりですね。イラク国会などと言われていますが、今日の党首討論を聞いていますと議論がひどく空回りしています。本来もっと緊張していい国会のはずですがね…。 河野 菅質問も相変わらずですが、小泉さんはすっかりタカをくくって応答が横着な気がします。特に党首討論はテレビ中継が入っているから、背後にいる視聴者のことも考えて答弁して欲しいと思います。 岩見 小泉政権も3年になりますが、内政にスピード感がないという評価が行き渡っています。 河野 郵政と道路公団の民営化は全体の改革から見ると局地戦のように思えます。 岩見 その局地戦の目途が立たないのに支持率だけがキープされているから不思議な政権ですね。ところで拉致問題で外務省の高官が2人でピョンヤンに飛んで交渉したようですが、専門家の言うことも千々に乱れていますし、どういう風に見ればよろしいでしょうか。 河野 拉致は日本にとって感情的にも一番大きい問題だと思います。しかし方法としては包括的な解決しかないでしょう。 岩見 最近の国内世論の高まりは、厳しい北朝鮮が拉致の外交カードを握ったという風にもなります。拉致は明らかに犯罪なのに本当に癪に障りますね。 河野 日本側の手の内をあまり見せては、向こうのカードの値打ちがどんどん上がります。もう一つ気になるのは、近刊の雑誌に掲載された米国務省のアーミテージ副長官の記事で、日米連携の障害は憲法九条だからこれを変えろと主張しています。今日本の国内に憲法改正論議が高まっている中で、アメリカと仲良くやるためにはという改正論があって、こうすればアメリカの言うことは何でも聞けますと日本の側から言っているように見えます。当初アメリカから押し付けられた憲法だから駄目だといっていた人たちが、今度はこの部分が邪魔でアメリカの言うことが聞けないから変えようと言っているように聞こえます。 岩見 憲法改正の動きは本当に改正を考えたものか、政界再編絡みでしょうか。改正といってもその中身は全面改正なのかどうか、大まじめで言っているのは中曽根さんと山拓さんぐらいで、後は盲動派ですよね。 河野 そんなことに浮き身をやつしているより、もっと構造的に変えていかなければならないことがたくさんあると思います。一般の人たちが憲法が邪魔で不便しているという話は聞きません。永田町だけが盛り上がっている不思議な構図ですね。 岩見 みんなバスに乗り遅れまいとしているように見えます。 河野 どこへ行くのかわからないというのに、民主党もよく分かりませんね。政治的に言えば今は大事な時ですよ。憲法が大事ではないとは言いませんが、そんなことをやる前にやることが一杯あると思います。ただ自民党と民主党で8割以上の議席を占めていますから、憲法改正の発議権はあるという条件はそろったわけです。 岩見 発議権があっても改正案が出来てこないし、こりゃ出来そうにないですね。 河野 全面改正といっても、一院制も上ってくることになるでしょうし、参議院が怒りますよ。 岩見 憲法問題は各党とも夏の参院選の争点になるといい始めています。 河野 社民党は喜ぶのではないかなあ。護憲と言っている社民党にとってこんな良い舞台は消費税以来でしょう。 岩見 参院選は自民党にとって不確定要素が多すぎてつらいと青木幹事長などは目標を改選議席を51議席と言っていますが、50議席取れなければ退陣ですよね。 河野 50というのは47都道府県で一つずつ取って後三人を比例で取ればよいわけなのに、その一人区でも難しいところがあるそうです。 岩見 どうやら波乱含みの一年になりそうですね。 (2月19日対談) |
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