
| 6年前の敗北より深刻=河野 |
![]() 岩見 まず参院選の結果についてのご感想を聞かせて下さい。予想通りでしたか。 候補者選びで勝敗が決した 河野 自民党の長期低落傾向が出ましたね。候補者選びの段階で勝ち負けが決まったところがありますね。 岩見 候補者は民主党の方が新鮮でしたね。 河野 負けたのは、民主党の候補が若くてよかったところです。 岩見 気になるのは公明党との関係で、6年前は44議席。あの時は自公が連立を組んでいませんでした。ところが今度は公明党の全面支援を受けながら、しかも景気が上向きの中で49議席ですから考えようによってはもっと深刻です。 河野 この事実を厳粛に受け止める必要がありますね。 岩見 記者会見を聞いていて小泉さんが負けたとは一切言わないし、その認識もないですよ。逆風が吹いた割には安定多数を与えてくれて感謝しているとは、どういうことですかね。 河野 党内の力関係から、うっかり謝ったりしたら足を引っ張られると警戒したのかもしれませんね。 岩見 国民の側からみると、負けたら負けたと最高責任者が反省するとはっきり言わないといかんですよ。 河野 最初は自民党だけで55とか言っていたのに、急に与党で過半数あるからいいと、ころっと変わりました。 岩見 小泉流レトリックと言うか、だましなんですよね。今度の獲得議席は与党だけで49プラス11で60です。改選数は121だから、この選挙だけでいえば安定多数なんてないんですよ。 河野 民主党は選挙の直前まで辞任した菅さんの後釜のドタバタ劇が逆に関心と注意を集め、いい加減な小泉、まじめな岡田という対比をはっきり出して成功しました。だから民主党が政策で勝ったという感じは全然しないです。 岩見 これは民主党が意図したわけではなく、騒動の末に結果的にそうなったという訳ですね。 河野 だからほとんど政策論争をしていません。参院選は政権選択の選挙ではなく、政策の選択だという人もいるが、自民と民主で大きな政策においては方向が同じで、選択肢にはならなかったようです。確かに自民が減って民主が増えたから、政策が変わるかというと変わらない。憲法改正も進んでいくんでしょう。 多国籍軍に参加すると小泉さんがブッシュに言ったというので、私はできるだけ早く国会に報告するべきだと官邸に連絡しました。しかし中川国対委員長はすでに分刻みのスケジュールを国対間で詰めて進めているので難しいとか…。 岩見 やっていれば小泉さんのためになったろうにね。こういう選挙戦をやった後は、これでは困るじゃないかなどと発言したものですが、今回は寂として声無しですからね。 河野 それは確かに小泉さんがそういう仕組みを壊したからでしょう。自民党という器は壊れてはいないが、あちこちの配線が壊れている。 岩見 しかし壊れたとはいえとにかく派閥はまだあるし、その領袖らもいるわけですから、普通だと何かこういう結果になったのはこういうことだと発言したもんですよ。 河野 完全に活力が薄れています。復元力というか、間違えたら元に戻すとか、初心に返るとかがほとんどないですね。 岩見 選挙の結果は、二大政党の流れがさらに強まったという人もいましたが、問題児が二人いるという二大政党というとすっきりとはいかないでしょうね。 河野 予測された通り、世界的に見てブッシュさんの肩を持ったスペインが負け、イギリスも地方選挙で負けて、ブレアさんの支持率もガタ落ちです。それで結局、最後はアメリカも負けるのではとの見方も出ています。 岩見 みんな貧乏くじを引いていますね。 河野 損を覚悟で付き合った人もブッシュさんが負けちゃったら元も子もないです。 岩見 長期政権だといいますが、小泉さんの任期はあと2年2ヶ月、最後まで投げ続けるということは、政治記者の目で見るとちょっと想像できません。 河野 小泉さんは持たないとは思いますが、じゃあその後をどうするかとなるとね…。今一番がんばらなければいけないのが麻生さんとか平沼さんとか高村さんで す。しかし高村さんを除けば派閥の領袖ではないし、麻生さんは閣僚でもあるのでモノは言いにくいのだろうと思います。 岩見 平沼さんがポスト小泉にならないのは岡山で負けたからだそうですが、他も負けていますからね。9月人事で挙党体制を組めば場合によっては支持してもよいという。それはそれとして国民との間で綱引きをやったんだから、国民の皆さんに対して何とかものを言わないと政治にならないですよ。 ポスト小泉も沈黙を続ける 河野 今黙っていて人事で不満があったからモノを言うのでは内向き過ぎです。 岩見 小泉政権は衰えて自由闊達さが全然なくなってきています。政治というのは本来もっと面白いもんでしょう。それが面白くなくなりましたね、最近は。 河野 2、3年前まではモノを言い続けた亀井さん、野中さんの二人も余り発言しなくなりました。 岩見 北朝鮮問題の曽我さん一家の話は、一種の国際ドラマみたいでしたね 河野 大変なドラマですね。政府は相当無理して選挙前にタイミングを合わせたのでしょう。 岩見 進行中の大ドラマですね。ある試算によるとあれで自民は2議席稼いだと言われています。 耳目を集めた曽我さん一家 河野 支持率が低下した最後の3日間、ほとんどの新聞が曽我さん一家に1面をさき、内閣への批判のスペースがなくなった。あれがなければ、テレビもカサにかかって自民党叩きをやったかもしれません。とにかく意図したかどうかわからぬが影響があったでしょう。 岩見 それはそれとして北朝鮮の姿勢が変化してきたようですね。 河野 私は最初から一番重要なプレーヤーは中国だと思っていました。確かに当事者は日米韓ですが、中国が国際政治の中で重要な役割を果たす気持になって北を説得したと思います。北の国際関係正常化のための中国の役割を評価していいと思います。こんな時に日中関係が悪いのは本当に残念です。 岩見 小泉外交の底の浅さは、北に行くとそこだけに集中的にやって広い戦略みたいなものがない感じですね。国家の犯罪と国家の戦争とが裏に絡んでいますから、壮大な舞台なんですね。小泉さんが早々とこれにマッチしたのはいいですから、後は外務省がうまくフォローしていくことです。 河野 小泉さんの決断はそれなりに正しいと思います。 岩見 しかし最後の展開がまずくなると日本が恥をかくことになります。ところでこれからの政局の展開は不透明なところがありますが、解散のにおいはしますか。 河野 今のところはないですね。つまり解散権を持つ者が負た訳で、危機感を持ってはいるでしょう。 岩見 何かの拍子で追い詰められるようなことがあれば別ですが、9月人事と言うのが一つの節目でしょう。やや鬱陶しい空模様が続きそうですね。 河野 こうなっても右傾化だけは変わりませんね。 岩見 最後に政治の話を離れてプロ野球界の合併問題などの混乱について伺います。国民の関心事ですからね。 河野 今のプロ野球は一球団を除いて経営的には成り立っていないようです。しかも野球は一球団だけでは出来ません。年間何十億の赤字を親会社が広告料だとかの名目で出してやっています。一方では選手の年俸がどんどん上がり、近鉄には5年契約で20億円という選 手もいるそうです。会社の赤字は年間40億円だと言いますからいつかは破綻しますよ。一方的に経営が出来なくなったから止めますと言う話で、ファンから見ればびっくりですよね。だけどファン無視だと言いますけど、日ごろお客が入らないから赤字になるわけです。 岩見 球場に行かないファンが大きなことを言うのは困りますが、テレビは見てくれないし野球熱が下火になっていることは間違いなく、ファンがサッカーに移動しているのでしょう。 河野 スポンサーとか親会社にとって本当に意味のある投資でなければ長続き出来ないのです。 岩見 国民的な娯楽ですから変になるとまずいですね。 河野 ファンの夢を壊してはいけません。 (7月13日対談) ![]() 衆議院議長公邸で |