
| 国民に向けて答える気持で=河野 |
![]() 岩見 通常国会が始まりまして、議長もご苦労様ですね。 河野 民主党も臨時国会を踏まえて戦術を強化したように思います。一方小泉さんは相手を見下ろすような感じの答弁になってきました。それが民主党の戦術強化とぶつかって、本会議はシナリオ通りにいきません。小泉さんの答弁が少し高飛車で、民主党はカチンときたようです。小沢さんの指示でしょうか代表質問の途中で引き上げるなど異常な状態でした。 場内係の鈴木恒夫議員が総理にしっかり答えるよう注意してとのメモを持ってきました。しかし議長が言っても答えなければ議長の権威に関わりますから、きちんと返事ができるかと官房副長官から小泉さんに確認させたところ、できないというんです。それではと、暫時休憩を宣言しました。休憩中の舞台裏では国対委員長がもう少しちゃんと答えるべきと総理に進言し、民主党もそれならと言ってきたので再開しました。議長がこういう注意をするのは異例です。自民党に対し、自分は立法府の議長として行政府が余り横着なら本会議は開かないぞと伝えました。それで少していねいになったような気がします。 岩見 同じことの繰り返しみたいな答弁でしたからね。 細かすぎる民主の質問 河野 どっちもどっちですね。民主党の質問も細かすぎる。本会議は総理大臣には大方針を聞き、総理もそれに答えて後は予算委員会でやったらと思います。 岩見 再質問が9項目でしょう。確かに数は多いですね。まあ、全部答えなくても、誠意を持って答えればいいですよ。再質問が認められている以上はできるだけ答えなければいかんですよ。 河野 テレビ中継のある本会議だから、国民に向かって答えるという気持がなければいけません。 岩見 民主党が議場を出て行ったのも異常ですが、世間の批判は小泉さんに向きましたね。 河野 5年目ということで慢心があるのでしょうか。 岩見 総理大臣に反省していただかないと。 河野 小泉さんもブッシュ大統領との関係や、先日もG8含めて津波の話などをやってきた。帰ってくると国内でやっていることが細かくて、レベルが低いという感じになるんですね。かつて福田赳夫さんも「世界の福田」とか言っていてすぐに駄目になりました。小泉さんには忠告する人がいませんね。 岩見 うっかり注意すると逆に出てくるという話ですよ。予算委員会でも、例の靖国問題なんかは、たくさんの国民が関心を持って見ているし、外国も見ているのですから、懇切丁寧に、私の心情はこうだと言えばよいと思うんですね。ところで郵政民営化の問題はどうです。 河野 やはり議院内閣制ですから、もう一寸党内ときちっとしておかないと進みませんね。 岩見 参院での青木さんの質問も異常でしょう。全然政策でなくマナーのことばっかり言っていました。総理は疲れている感じもしますね。根が続かなくなってきめ細かく答弁するのが面倒くさくなっているのかもしれませんね。 河野 小泉さんも中川国対委員長のパイプでやっているんですが。 岩見 先日、その中川さんと話したら、総理はこの国会で追い詰められたら必ず解散すると言いました。惨敗すると反論したところ、惨敗だってやる、小泉とはそういう人だ言うのです。しかし、総理大臣OBの中曽根、宮沢、森さんらはおおっぴらに今選挙をやったら民主党政権になるから、絶対やってはいかんと言っていますがね。 大局見据えた議論が不可欠 河野 この間、国会の開会前に国対の中川、東君と議運の川崎委員長が来ました。今回は有事立法関連や自衛隊法改正、国民投票法、教育基本法など重要法案が沢山あるというのです。そこで私は一本一本は大事かもしれないが、木を見て森を見ない議論は駄目だと話しました。森の陰で日本の形が見えなくなったら困る。大局を見てやるようにとアドバイスしました。 岩見 最近はみんな猛々しいですね。安倍さんなど毒々しい。 河野 私は日英議連の会長をしているのです。幹事長が麻生太郎君なんですよ。彼は閣僚だし、私も議長なのでなかなか仕事が出来なくて困っていたところ、イギリス側から招きがありました。議長として時間が取りにくかったですが、1月10日からロンドンに行ってきました。途中から麻生君も合流し、10人ぐらいの議員団で向こうの議員団と二日間話し合いました。 久し振りのロンドンだったので、旧交を温めたいと外務大臣時代のカウンターパートと会いました。ダグラス・ハードさんは息子さんと一緒に昼食会を開いてくれましたし、ロビン・クックさんは、例のブレア首相のイラク派兵を批判して外相を辞めた人ですね。彼も是非会おうと言ってくれました。それからEUの対外担当委員だったパッテンさんと個別に会いました。みんなブレア首相のイラク政策に反対していて、事態は悪くなっていると嘆いていました。面白かったのはクックさんです。この人は沖縄サミットの時の外相ですが、イギリスの競馬新聞で予想やエッセイを書いている競馬好きなので私とウマが合い、今でも仲良くしているんです。そのクックさんはブレア首相を痛烈に批判して辞めたんですね。ブレアと同じ労働党なのですが、この5月に選挙があるので、どうするのかと尋ねると、労働党は絶対勝つというのです。これだけブレアさんに対する批判が強いけれども、今は百何十議席の差があって少しはその差は詰まるけれどもやっぱり勝つというのです。 そこで貴方はどういう態度を取るのかと聞くと、ブレアのイラク政策は零点で絶対反対だけれども、それを除けばブレアを支持しているというのです。そして労働党のために一生懸命働くし、現に地方の選挙区からは応援に来てくれと引っ張りだこのようです。 岩見 人気があるんですね。つまり、イラク戦争反対の党員がいっぱいいるんですね。そこへ行って彼はイラク政策は駄目だと。 河野 そんなことをやったらブレアに間違ったメッセージが伝わるんではないかと聞くと、表面的にはそうかもしれないが、ブレアはバカではないから分かるはずだと言うのです。だから自分は選挙では一生懸命に党のためにがんばると言うんです。 ハードさんはイギリスのイラク政策は駄目だ、アメリカは間違っているというのです。ブレアはもっとアメリカに対してきちっと言わなければ駄目といっていましたね。 また、パッテンさんはこういうことを言いましたね。第一次湾岸戦争のとき、メージャー首相と食事中にパパ・ブッシュから電話が入って、クウェートからイラクを追い出し、どんどん攻めてバグダッドのそばまで来た所で戦争を止めて引き返すという通告だったそうです。メージャー首相はやるなら徹底的にやったらどうだと言ったら、ブッシュはそれではもう最後の責任までアメリカが負わなければならなくなる。ここで引き返せばイラクの政治はイラク人がやることになるが、バグダッドまで入ってしまえばアメリカが、イラク人に政治責任をとらなければならなくなるし、それはできないので引き返すと言ったそうです。 公平さが欲しいパレスチナ政策 河野 この後、太郎と二人でエジプトに行きました。エジプト人民議会の議長の招待があったのです。着いたらすぐムバラク大統領とも会いました。1時間にわたりイラク問題やパレスチナ問題について話し合いました。とにかくアメリカも一生懸命やっているけれども、彼等が介入すればするほど駄目なんだとムバラクさんは言っていましたね。イスラエルに対する肩入れがあり、公平でなくパレスチナがかわいそうだと言うのです。パレスチナも部族的対立がひどいので、一人ずつ呼んで、けんかをしては駄目だというと、みんなわかったと言って帰るが当てにならない。あれではアッバスがシャロンと話し合っても、後ろがバラバラだから駄目です。そこでもう一度2月に入ったらカイロに全宗派と部族の代表を一堂に集めて話し合いをすると言っていました。 岩見 通常国会もまだまだ出番がありそうですね。憲法問題も自民党は奇妙な経過をたどっています。この前の森委員会は歴代総理を小委員長にして、大丈夫ですか、あんなことをやって…。戦後60年の年で、何やかやとにぎやかそうな感じになりますね。 (2月1日対談) ![]() 議長公邸にて |