詩吟
駿河岳風会会長 箱根町宮城野 神戸 安次さん

  詩吟は、漢詩の訓読を旋律に乗せて朗唱するもので、儒学・国学が隆盛した江戸時代の中期以降、武家社会の教育の一環として古流・田宮流から各流派に広がったものです。  
 わが国の公文書や文学はもともと漢文でしたが、万葉集から平安時代のかな文学に連なる、声に出して詠み上げる和歌の伝統もあり、琵琶法師の「語り」と共に詩吟の技法の基になったと言われています。
 詩吟のテーマは教訓詩、感情詩、叙情詩など多岐ですが、青少年また成人の精神の育成と人格形成に資するものと考えます。
 特に明治以降、欧米文化の流入で人の気持ちが浮薄に流れ、日本人の質実剛健な気風が損なわれることをを恐れた人々が詩吟の振興に努め、文部省も日本詩吟学院岳風会などを社団法人として認可しています。
 吉田松陰、西郷隆盛、木戸孝允といった人々、また山県有朋、初代衆議院議長の伊藤博文といった明治政府の首脳を務めた方々も、皆漢詩を作り、それを吟じています。
 これらの政治家は詩作や詩吟を通じて自らを戒め、励まし、国を思って仕事をしてこられました。私たちも詩吟を通じ、忘れられつつある和の心、人の礼節を取り戻したいと考えます。 (談)