
| 外交を損ねる閣僚発言=河野 |
![]() 岩見 官公庁でクールビズが始まったと思ったら、先日の衆院本会議では与野党の議員がお酒を飲んでいるの、いないのとお粗末に過ぎました。 河野 話題にするのが情けない光景でした。 岩見 議員もかりゆし姿の小泉さんに右へ習えをしているようですね。 河野 環境問題もあって国会内の温度設定を28度にして委員会は背広とネクタイを取ってもよいとしたのです。ただし本会議場は従来どおり背広にネクタイ着用としています。国権の最高機関としてきちんと緊張感を持ってやるということです。 岩見 小泉さんは郵政法案をあげることしか念頭にないようですね。 日中関係の現状見かね 河野 この法案はなにか小泉さんの議員立法みたいなもので、修正もなにも全部小泉さん次第といった特異なケースですね。 岩見 修正などは本来立法府の権限に属するものですね。国会で決めればいいんですよ。 河野 今大事なのは党の執行部の姿勢です。これまでの自民党の執行部は党と政府の考え方が違えば官邸に飛び込んで行ってその考え方を伝えたものです。 岩見 幹事長が官邸にばかり顔を向けていて、しかも党内がそれを認めているのもおかしい。 河野 日中も日韓も閣僚の発言がぶち壊しています。95年の村山談話は、閣議了解の上で発表したから閣僚から異論は出なかった。今度小泉さんがバンドン会議でこれを引用したところ、小泉内閣の文相、外相、そして政務官からも異論が出ました。バンドンでの小泉演説は評判が良かったのに裏切られたとかえってマイナスになっています。小泉さんが任命している閣僚からの異論ですから、その責任は小泉さんにあります。あの政務官は厳重注意か更迭すべきでした。任命したこと自体が間違っていたと思います。 岩見 日中関係の困った状態をみかねて河野議長は歴代総理大臣を集めて思い切ったことをやったと評価されています。 河野 ご健在の総理経験者8人のうち5人に議長公邸にお集まりいただきました。その他の3人も細川さんには電話で趣旨を説明の上でご意見を伺いました。細川さんは「東京には余り出ないのでご無礼するが、趣旨には同感なのでどうぞお任せします」と言われました。羽田さんは最近訪中し、「中国の状況は深刻だ」と言っていました。最初は出席する筈でしたが、ルーマニア友好協会の会長として万博出席の為来日したルーマニア大統領を案内しなければならなくなり、前日会って話し合い、そのことを皆さんに披露しました。 問題は中曽根さんでした。事務所をお訪ねしたところ、まずはじめはとうとうと持論を語りました。日本とアジアの問題を考えるには1915年(大正4年)の大隈内閣の対華21か 条要求、それからくる「五四運動」や「三一独立運動」を考えなければいけない。小泉内閣の考え方は浅いと指摘されました。「そのことをぜひ集まって話して欲しい」と頼んだのですが、「集まるのは駄目だ。小泉さんに手紙を書けばいいし、電話でもいい」と言われました。私は「今目に見えた行動が大事です、小泉さんに対しては、欧米の政治やメディアが不信感を持ち始めています。先輩に集まっていただきたい」と言いましたが、断られました。 橋本さんは「私は昨日靖国神社に詣でてきた」と打ち明けましたが、「皆で集まって意見をまとめ、文書を作った上で古賀誠元幹事長にでも持って行かせたらどうだ」と提案しました。大分にいた村山さんにも電話で出席をお願いしました。 宮沢さんには会談の趣意を書いた紙をお見せして説明したところ、「最後に書いてある慎重のうえにも慎重に考えるべきだというところをコンセンサスにして小泉さんに言えばいい」とのアドバイスを受けました。森さんも「いいんじゃないか」と賛同し、人間ドックの時間を変更してもらっての参加でした。会談は公邸で行い、終了してから記者クラブで内容を発表しました。 岩見 議長のこうした動きを批判する向きもありましたが、世間の潮目は変わりました。神崎さんも公明党も、そして財界の発言も商売が絡むとはいえ、良識派は変わってきました。 ところで国会とは無関係ですが、石原都知事の人事騒動はいかがですか。知事は週に2、3日しか登庁せず、月にすると6、7回しか行っていないと聞いて驚きました。組織の長としてどうかと思いますね。 河野 組織の人間はトップの考えを知りたいが、わからなければ動けないでしょう。 岩見 どういう神経でしょうかね。 河野 みんなと一緒に汗を流すことなど必要ないと考えているのでしょうか。 核軍縮に向け巻き返し必要 岩見 都民や役人だって石原知事の動静を知りたいだろうし、どこかおかしいなあ。ところで北朝鮮やイランの核兵器開発問題が取り沙汰される中、ニューヨークで開かれていた核不拡散条約(NPT)の再検討会議が何の合意文書もまとめることができずに終わりました。今回はアメリカと、イランやエジプトなどの非保有国が激しく対立したようですが。 河野 10年前にNPTを無期限延長する時に、核保有国は軍縮への努力を改めて約束し、5年ごとに再検討会議を開くことにしました。5年前の会議の時も、アメリカは軍縮に比較的前向きなクリントン政権だったこともあって、包括的核実験禁止条約(CTBT)批准に向けての努力などを約束したのです。 岩見 ブッシュ政権になって姿勢が変わったわけですね。 河野 CTBTを議題にのせることは認めない、新型の小型核兵器の開発はテロとの戦いのために必要だ、というわけです。 岩見 それでは途上国が収まらない。 河野 アメリカがそのような姿勢だったため、途上国は「核の平和利用の権利」を言い募って、拡散防止に必要な国際原子力機関(IAEA)の査察強化などを全く受け付けませんでした。 岩見 核不拡散はアメリカの安全保障にとっても重要な課題のはずなのに、あまり賢明な対応ではありません。 河野 唯一の被爆国として、わが国の外交の働きどころだと思います。 岩見 国連安保理の常任理事国入りの動きにしても日本の対応や動きは安易です。 河野 中国を叩き、ODAをアフリカに振って票固めをしようとしています。 岩見 手口が見え透いていますよ。中国の強い反対に今になって外務省は青くなっていますが、常任理事国入りはもっと展望を持ってやらないと見込み違いになりますね。 河野 かつては外務省だって何かをやろうとする時にはそれなりの構えがありましたがね。 岩見 えらいことになりましたね。その上、後半の政局は全く分かりません。小泉さんの任期はあと1年2ヶ月ありますが、任期満了までやるとは思えないのですがどうですか。 河野 一種の恐怖政治になっています。郵政の問題は最後になったら、委員会は4人の反乱でつぶれかねません。反対派の6人の委員を本人の意思と関係なく差し替えると言っています。それでも本人が反対すればできません。そうなると委員会では否決となり、本会議で逆転可決ということになりかねません。つまり法案の委員長報告は否決だが、本会議で可決という可能性もあるのです。6人には大変なプレッシャーになりますが、つぶれたら誰が転んだか分かってしまいますからね。 岩見 多少は混乱してもルールやマナーが大切だということを知ってもらいたいですね。いまや完全に以前のような政治ではなくなりました。 終焉を迎えた古い派閥政治 河野 派閥政治が終わったということです。反対派の会合のテレビを見ると正面に座っている人たちはみんな派閥の領袖です。昔ならあの顔ぶれがそろえば怖いものなしでしたが…。日中もそうですが、日韓の関係も複雑になっています。アメリカも牛肉問題で深刻だし、堺屋太一さんが書いていましたが、今日本と仲が良いのはモンゴルだけ(笑い)。 岩見 ポスト小泉もメリハリが大事ですがどうでしょうか。 (6月27日対談) ![]() |