「茶の本」出版百周年 

 河野衆院議長は5月9日に東京で開いた「政治を語る会」の挨拶で、今年は岡倉天心が『茶の本』を出版して百周年であることを紹介しました。
 この本は、東京芸大美術科の前身である東京美術学校の創設に尽力し校長も務め、また米ボストン美術館東洋部の顧問となった岡倉が、茶道を日本文化の神髄を伝えるものとしてとりあげ、英語で書いたものです。
 河野議長は、日露戦争によって日本が国際的な注目を集めた直後に書かれたこの本の中で岡倉が「西洋人は、日本が平和な文芸にふけっていた間は、野蛮国とみなしていたものである。しかるに満州の戦場に大々的殺戮を行い始めてから文明国と呼んでいる」「もしわれわれが文明国たるためには、血なまぐさい戦争の名誉によらなければならないとするならば、むしろいつまでも野蛮国に甘んじよう」と書いている部分を紹介しました。

 岡倉の言わんとするところは、日本のすぐれた点は本来、軍事力や経済力といったものの中にではなく、例えば「禅」の伝統、すなわちインド、中国といった東洋的な伝統の上にわが国において独自に発展した文化、例えば「茶道」に見られるような細やかな美意識、思いやりの心にあるといったことだと思います。
 河野議長は「それに比べると、今のわれわれはちょっとせせこましすぎやしないか、刹那主義ではないか」と、拝金主義やテレポリティクスといったことばに象徴される世相に苦言を呈しました。
 当日、会場には自称「河野洋平応援団長」の塩月弥栄子さんら茶道裏千家の関係者の姿も見えました。地元・神奈川や小田原で故・武子夫人と共に裏千家・淡交会の活動に熱心に参加してきた河野議長ならではの挨拶でした。  (T)