
| ねじれは欧米では普通のこと=河野 小沢代表は副総理狙いか?=岩見 |
![]() 岩見 国会の最初のところで衆参議長が話し合いをするというのは異例のことですが、この国会に相当、危機感を持っておられるということでしょうか。 河野 臨時国会を見ると「ねじれ国会」では、衆議院と参議院と議決が異なってしまうことが非常に大きいわけです。アメリカだってねじれていますし、フランスもねじれている時が多い。欧米では与党も野党もねじれについて慣れている。もっと言えばジャーナリストも慣れている。だからアメリカでは「これでいいんです。これで上下両院の民主党がブレーキを踏んで、ちょうどいいところでいる」とねじれを評価もしています。日本は党議拘束が強すぎて、何時間審議してもねじれたままになります。 岩見 日本はこれまで「ねじれ」になったことはあまりなかったですから。 河野 そして不幸なことはねじれ国会の最初のテーマがテロ特措法という、国際的なものでしたから。国内問題なら、話し合えば妥協点のようなものが出てくる可能性がある。 テロ特措法は大事じゃない? 岩見 テロ特措法案の経過見ていると、白か黒かでやりますからな。 河野 あの時も実は最終段階で、何か修正案でも考えたらどうかと。 岩見 ダメだったですね。 河野 小沢さんが「これは憲法違反だ」と言っているから、修正なんかできっこないというわけですよね。 岩見 変な党になりましたね。テロ法案だって「大事じゃない」って言ったんでしょ。 河野 衆参両院の議長は江田君も言うようにとにかく話し合いのムードを作ろうと。経済がこんなですからね。本当にガタガタになってしまう可能性もありますよ。 岩見 「混乱する前に解散に追い込む」という作戦じゃないんでしょうか。 河野 解散については、福田さんはやはり7月のサミットを一つのめどにして、「それまでは」と言って頑張るでしょう。いつもの年なら「予算が上がるまで」だけれども。 岩見 こうなったらそうでしょうな。たしかに環境問題は中長期に見れば大事なことですが、経済は一刻を争って手を打たなきゃならん問題が次々に起こってるわけですから、「KY総理」と言われるように、なんか空気読めてないように感じますね。 河野 独特の雰囲気の人ですから。改造の話しは、少し空気の読める人をまわりに置きたいと言う気持もあったんじやないでしょうか。 岩見 今年の政局の流れを読む上で、去年の大連立騒動っていうのは何だったんでしょうか。 河野 今の衆参ともに自民党はやっぱり少し「わがまま」です。昔、自分が衆参ともに多数だったことが忘れられなくて、その時の前例、先例だけを振り回しています。しかし、あの参議院選挙を境にその主張は変えなきゃいけない。そこに大連立の話しが小沢さんの方から持ち込まれた。 岩見 それはもう、ほとんど間違いないようです。私がナベツネさんに聞いたところでは、彼は「そんなにすぐにはどうにもならないんで、衆議院選挙の後ですよ」と言うわけです。 ところが、そう思っているところに小沢がせっついてきた。福田さんやナベツネさんもびっくりしたんですね。小沢が「さあやろう、さあやろう」と言ってきたんで、そこまで言うなら「いいですよ」と、福田さんの方が乗っかったと。 河野 福田さんはブッシュと会って、帰ってきてからテロ特措法に対する対応が相当違ってきた。だから、小沢さんの方から言われて、乗ったと思います。 岩見 どうして小沢の方がそんなに積極的に乗ってきたのか。自民党のある首脳は「このままいくと衆議院も勝てる。そうすると総理大臣やらなきゃならなくなる。でも、総理大臣は肉体的にもできない」。だから、次善の策として「無任所・副総理」を連立でとりにいった。これが小沢の狙いだと言うんですよ。 河野 彼はもうここ何十年も「キングメーカー」なんですよね。いつでも「権力」は持って、しかし矢面には立たないというポストがいいんですね。 岩見 そうするとね、今年仮に総選挙やるとして、「福田か、小沢か」という選択は見せかけであってね、実際民主党に政権行っても小沢内閣はできないと。そうした個人的な思惑が出てくるとね、話が小さくなってきて、やだなという感じがありますけどね。 河野 しかし、鳩山さんでも菅さんでもまとまらないようですからね。 リベラル派にひとつの核が 岩見 自民党の方はどうでしょうか。古賀派と谷垣派がいっしょになって、これはこれでリベラル派が結集したってことはいいんですが。 河野 意味がありますね。中身は必ずしもリベラル派ばかりじゃないけれども、ひとつの「核」はできましたね。 岩見 一方の中川昭一さんとか、安倍晋三さんなんていう人たちは、麻生太郎さんを担ぎそうな雰囲気がちょっとありますね。 河野 そうですね。僕は麻生君と会って言ったんだけれども「君は右寄りだってことは僕もわかっているけれども、やっぱりバランス感覚っていうものがないとダメだ。右でもいいけれども、右の人としか付き合わない右になるなよ」と。「少なくとも右の人たちと付き合うなら、一方でリベラルの人とも付き合う平衡感覚がなきゃダメだぞ」と。 岩見 その辺は右になりきっているという感じでもない。もともと吉田茂さんの孫ですからね。 河野 とにかく、最近は非常に動員力とか、人気はあるっていうんだ。演説なんかやると受けるようですね。 岩見 大衆性がある。どういう時期かはっきりしませんが、今年中には選挙がありそうだというのが大方の見方です。選挙の後は、再編がらみの政局になるとご覧になっているんですか? 河野 選挙の結果によっては6年ねじれますよね。それじゃちょっと持たないんじゃないか。そこで緑風会のような政党に拘束されない良識の固まりが参議院にできないだろうか、作る方法はないかと考えているところなんです。 岩見 そできればねじれがずいぶん軽くなりますな。 河野 そういうものさえあれば、逆に今度はねじれってものがいいんですよね。一党でなんでもやっちゃうというよりは。 ところで、私は今年の9月にG8の議長会議を広島で開くことを、ドイツでやった去年の議長会議で決めてきたんです。アメリカのペローシ下院議長、この人は女性ですが、彼女が広島に来るかどうかが一番の問題だったんです。60年経っても、アメリカの政治的な指導層は広島に来たことがないんです。 そのアメリカの下院議長が、広島の会議に来るかどうかというのが問題でしたが、外務省含めて、民主党のトップにパイプを持っている人は誰もいないんです。僕はもう、直接会う以外にしょうがないと思って直接会いました。 岩見 どこで会われたんですか。 河野 ベルリンの議長会議の折に会いました。ペローシ議長の選挙区はサンフランシスコで「私の支持者には日系人も多いんです。彼らは、私が広島に行くと言ったら喜ぶでしょう。だから、私は物理的に可能であれば行きたい」と言うのです。 広島で何かを感じてほしい 河野 9月に大統領選挙が始まれば、下院議長は民主党の応援団の真ん中に座る人ですから、8月末に開かれる民主党大会で、彼女が「私が大統領を指名するのよ」と言ったので「そういうあなたが、9月1日に日本に来られますか」と言ったら「議長専用機もあるし、行けるんじゃないか」と言うんですよ。 岩見 なるほど。それは下院議長さん見えるといいですね。 河野 彼らが来て、広島の記念公園や資料館なんかを見てね、何かを感じて帰ってくれればいいと思って、とにかくやろうと。 (1月23日対談) ![]() 衆議院議長公邸の執務室で(1月23日) |